広島、長崎の訪問促す環境醸成を

広島市はきょう6日、長崎市は9日に71回目の「原爆の日」を迎える。両市で開かれる平和記念式典を機に、オバマ米大統領の歴史的な広島訪問で新たな一歩を踏み出した「核のない世界」の実現に向けた潮流を広げていきたい。

広島訪問で、オバマ氏が「核のない世界」をめざし日本と共に世界に訴え掛けていく決意を表明した意義は大きい。唯一の戦争被爆国である日本は、核兵器の「非人道性」をもっと世界に発信し、核廃絶に向けた国際的な合意形成へリーダーシップを発揮しなければならない。

核廃絶への道のりは平たんではない。今も世界に約1万5000発の核弾頭が存在し、北朝鮮が核開発を強行するなど、核軍縮・不拡散をめぐる動きは鈍い。そうした現状を直視しながら、核廃絶に向け、できるところから着実に対応していく必要があるのではないだろうか。

そのために、世界の指導者が広島と長崎を訪問し、核兵器の惨劇を直接知ってもらうことが「核のない世界」への第一歩となる。訪問の際には、オバマ氏のように被爆者の生の声を聴いてもらいたい。

その意味で、先進7か国(G7)外相が今年4月に示した「広島宣言」で、世界の指導者に両市を訪問するよう呼び掛けた行動は評価できる。

核廃絶の実現には、核の保有国と非核保有国が手を携えて行動していくことが重要だ。外相会合を通じて、核を保有する米国、イギリス、フランスを含むG7の主要閣僚が初めて広島を訪れたのは画期的な出来事といえよう。日本政府は、さまざまな機会を通じて被爆地の訪問を促す環境を醸成してほしい。

一方、「核廃絶に向けた法的措置」を議論する国連のオープンエンド作業部会が5日スタートした。これに併せて公明党は同日、政府に提言を行ったが、議論に参加していない核保有国も含めた枠組みをつくれるかどうかが今後の課題である。作業部会は近く報告書をまとめるとされるが、実効性のある内容になることを期待したい。

71年前の惨禍を二度と繰り返さないため、日本は核の保有国と非核保有国の橋渡し役となって、積極的に行動していくべきだ。
2016年8月6日 公明新聞より掲載