「核兵器なき世界」へ貴重な前進

核廃絶へ向けた動きは現在、難局に直面している。その中でオバマ米大統領の被爆地・広島の訪問が27日実現する。

政治リーダーの毅然とした行動は世界を動かす。公明党は現状打開のため、世界の政治リーダーの被爆地訪問を広島・長崎の被爆者と共に訴えてきた。オバマ大統領の広島訪問が「核兵器のない世界」に向けた貴重な一歩となることを期待したい。

オバマ大統領は、2009年4月のプラハ演説「核兵器のない世界」で、米国が核兵器を使用したことに関する道義的責任について明言した。このオバマ大統領の広島訪問が被爆者の思いに応えるだけでなく、核廃絶への障害になっている核保有国と非核保有国との対立を取り除き、実りある対話への契機になることを世界は強く願っている。

公明党はプラハ演説から8ヶ月後の09年12月に核廃絶推進委員会を設置。10年8月には「核廃絶へ向けて-五つの提案」を発表した。その中で「オバマ米大統領の登場が、核兵器をめぐる国際社会の意識に変化をもたらした」としてプラハ演説を高く評価。オバマ大統領の被爆地訪問の実現をめざしてきた。

この間、世界の政治リーダーの被爆地訪問を求める声は被爆地から全国に拡大。政府も国連の場などを通じて、「広島、長崎を訪問して被爆の実相を知ってほしい」と訴え続けてきた。

こうした経緯を経て、14年4月に広島市で開催された軍縮・不拡散をめざす国々の外相が集った会合で、世界の政治リーダーの被爆地訪問を呼び掛ける「広島宣言」が採択されたのだった。

米国では、日本への原爆投下に関してさまざまな意見が対立している。1995年にはスミソニアン航空宇宙博物館で計画された原爆展が米国退役軍人らの強い反発を受けて中止となったことは記憶に新しい。この中で、オバマ大統領は広島訪問を決断した。

被爆者はこの時を70年間待っていた。可能であればオバマ大統領と被爆者の懇談の機会が実現できないだろうか。そして、世界の政治リーダーも「核兵器ない世界」実現への決意をもう一度確認してほしい。
2016年5月12日 公明新聞より掲載