消費の刺激は所得の改善から

経済成長を後押しするには、個人消費を促すことが欠かせない。そのためには、賃上げによる家計の所得状況の改善が必要だ。

政府の「働き方改革実現会議」で安倍晋三首相は、来年の春季労使交渉(春闘)での賃上げを経済界の代表に求めた。

賃上げには、家計の消費意欲を刺激する効果がある。消費活動が活発になれば企業業績が上向き、雇用の拡大や設備投資を進めることができるだけでなく、さらなる賃上げにもつなげられる。こうした「経済の好循環」が持続的な成長のカギを握ることは言うまでもない。

賃上げに向けた政府からの要請は4年連続だ。各企業の経営努力の末、賃上げ割合は基本給の引き上げと定期昇給を合わせて、3年連続で2%を超えている。この流れを維持しようとの政府の姿勢は評価できよう。

今年7〜9月期の国内総生産(GDP)は、年率で2・2%増と経済に力強さが戻りつつあることを印象付けた。給料などの「雇用者報酬」も前年同期比で3%増の高い伸びだった。ただ、個人消費は微増にとどまった。この点からも賃上げの必要性は高いと言えるのではないか。

企業が賃上げに前向きになるような環境づくりも必要だ。この点で、政府の果たすべき役割は大きい。

例えば、日本の重要な貿易相手である米国が、大統領選を経て内向き志向を見せてることに国内の輸出産業界は警戒を強めている。安倍首相は17日夕(日本時間は18時朝)、トランプ米次期大統領と会談したが、今後も自由貿易の推進にリーダシップを発揮し、企業の不安要因を取り除いていく努力が政府に求められよう。

雇用の7割を支える中小企業への手厚い配慮も忘れてはならない。

今年度の第2次補正予算で、賃上げに取り組む中小企業向けの補助金制度を大きく拡充した。主な窓口となる経済産業省は、雇用促進に貢献する中小企業に、制度を積極的に利用するように呼び掛けてほしい。

また、大企業による下請けいじめを監視し、不公正な取引から中小企業の利益を守ることも重要だ。

2016年11月19日 公明新聞より掲載