心のバリアフリーにも努めたい

公明党が成立を主導した「障害者差別解消法」が今月施行された。障がいの有無にかかわらず、誰もが互いに個性を尊重し合う共生社会をさらに進展させたい。

同法に基づいて国は既に、行政機関の職員向けに「対応要領」を、事業者用には「対応指針」をそれぞれ策定し、障がい者に対する不当な差別的取り扱いや、必要な配慮の具体例を示している。

この中では「障がいを理由に対応の順序を後回しにする」「入学や入院を拒否する」などを禁止行為とし、配慮事例としては「意思を伝え合うためにタブレットを使う」「障がい者の障がい特性に応じて会場の座席を決める」などを挙げている。こうした対応が速やかに周知徹底されることが望まれる。

首都圏に住む重度脳性まひのNさんは35年前、成人を機に車いすで出掛けるようになったが、鉄道で乗車拒否に何度も遭い、侮蔑的な言葉を浴びせる駅員も少なくなかったという。「バリアフリー」という言葉が今ほど知られてなかった時代のことだ。

その後、駅には次々とエレベーターが設置され、車いす利用者の乗降を駅員が介助する光景をよくみるようになった。交通機関に限らず、施設や制度面でのバリアフリーは着実に進んでいる。解消法施行により、役所や企業、店舗などでの障がい者に対する配慮が一層深まることを期待したい。

こうした中で大切なのは、国民一人一人の意識のバリアフリー化ではないか。
「親族の集まりに呼ばれない」「車いすで買い物中に他の客から迷惑がられた」「障害者用駐車場を健常者が利用して駐車できなかった」といった障がい者の体験が、自治体のアンケートに寄せられている。一方、手助けをしたいという気持ちはあっても、困っている障がい者を見掛けた時の「声掛け」は、戸惑いや気恥ずかしさで気軽にできないという人もいる。

バリアフリー社会の実現には、法整備だけでなく、障がい者に対する健常者の心の中のバリアを解消していくことも必要だ。社会参加が進む障がい者と積極的に関わる中で、心のバリアフリーにも努めたい。

2016年4月14日 公明新聞より掲載