目標を設定し幅広い国民運動に

まだ食べられる状態の食品が捨てらてしまう「食品ロス」の削減に向けた大きな一歩だ。

安倍晋三首相は23日の衆院決算委員会で、公明党の竹谷とし子さんの質問に対し、食品ロスを減らすため「国民運動として、消費者の意識向上などに幅広く取り組む必要がある」と述べた上で、公明党が求めていた削減目標の設定を検討する考えを示した。

日本の食品廃棄物は年間1700万トンに上り、その約4割に当たる642万トンが食品ロスだ。うち半分は事業者、もう半分は家庭から出ている。政府は食品会社などと協力して削減に挑んでいるが大きな成果は上がっていない。その原因として削減目標がないことが指摘されていた。

目標の検討に当たっては、いつまでに、どれだけ食品ロスを減らすのかを数字で示すとともに、目標達成への具体策が欠かせない。

地方自治体として初めて食品ロスの削減目標を示した京都市の事例は参考になる。同市は、2020年までに食品ロスの発生ピーク時(00年)から半減させるとし、家庭で食材を無駄にしないための啓発活動などを展開している。

ユニークなのは、家庭で出た食品ロスは4人家族で年間6万5000円の負担になるという市独自の試算を示している点だ。損をしたくない気持ちが市民に芽生え、削減に挑戦する人が増えるだろう。政府には、国民が関心を持つような工夫を求めたい。

4月から始まった政府の「第3次食育推進基本計画」では、食品ロスの削減のために何らかの行動をしている人を増やすことを柱とした。ポイントの一つは子どもたちの「もったいない精神」を呼び起こすことだ。子どもがやる気になれば、家族への波及効果が期待できる。環境省が昨年度から始めた、学校給食の食べ残しを減らす事業の拡充などを検討すべきではないか。

また、国の司令塔機能の強化や自治体独自の取り組みも重要だ。公明党は18日、政府に対して食品ロス対策の推進本部設置や担当大臣の明確化、自治体ごとの削減目標の策定などを提案した。首相が言及した国民運動として展開するからには、それにふさわしい体制が必要だ。
2016年5月26日 公明新聞より掲載